耳硬化症
耳硬化症
鼓膜の振動を内耳に伝える3個の骨は鼓膜側から順に「つち骨」「きぬた骨」「あぶみ骨」という名前が付いています。この3番目の「あぶみ骨」はその丸い部分が卵円窓(前庭窓)という骨の穴にマンホールの蓋のように付いています。そして音の振動はあぶみ骨の振動を経て内耳に伝わります。
このあぶみ骨が周囲の骨と固着してしまって音が内耳に伝わりにくくなる病気が「耳硬化症」です。
症状と検査
耳硬化症は白人に多く、日本人には比較的少ない疾患です。また女性に多く出産と前後して発症する傾向があります。
症状は耳鳴りで始まることが多く、徐々に難聴が進行します。耳鼻咽喉科を受診してもこの病気であると気がつかれない場合も少なくありません。特に難聴のあまり進行していない初期では診断が付かない場合もあります。
難聴には大きく分けると伝音難聴と感音難聴があります。耳硬化症は初期には伝音難聴を示しますが、進行すると感音難聴の混じった混合難聴となっていきます。
あぶみ骨筋反射(耳小骨筋反射)という検査をすると耳小骨が固着しているため左図のようにグラフが平坦になります。
治療
難聴が軽度であれば特に治療は必要なく定期的な聴力検査を行うだけです。難聴が高度になれば補聴器の装用か手術を検討します。
手術は固着したあぶみ骨に穴を開け、内耳に音の振動を伝える人口耳小骨を植え込みます。